§本場の紅茶事情2§
アールグレイ香るミッドナイトティータイム |
---|
2005・9・24 | |
紅茶研修という名目で、私はスコットランドのエディンバラに。 函館から最終の便で羽田に向かい、その夜のうちに成田の宿へ。 そして翌日のちょうどお昼の飛行機で12時間かけロンドンのヒースロー空港に着き、 すぐに乗り換え便で1時間のフライト。 約2日かけてスコットランドに降り立った時は、時差(約8時間)もあり、フラフラの状態だった。 ようやくホテルに入り、シャワーを浴び、「冷たい飲み物でも・・・」と思い、 ふとテーブルの上にサービスで置かれているお茶類が視界に入った瞬間、 メラメラと紅茶屋魂が燃えた。 私にはどうしても試しておかなければならない事があるのだ。 ホテルのルームサービスのティーバック4個のうち、 ブレンドティーが2個とアールグレイが2個。 すぐさま備え付けの電気ポットのスイッチを入れ、ティーカップには アールグレイのティーバックを用意した。 別に本場のティーバックを飲みたかったわけではなく、 「アールグレイの香り」 を確かめたかったのだ。 皆様の中にもアールグレイという品名をご存知の方は多いだろう。 アールグレイとはイギリスのチャールズ・グレイ(2代目グレイ伯爵、1764−1845年)が 海軍大臣を務めていた時、紅茶の愛飲家であったグレイが、 トワイニング社の4代目リチャード二世に、中国産紅茶にベルガモットの香りをつけて 作らせたのが始まりと言われている。(伯爵=アール) ベルガモットは当時、シチリア島で栽培され、フランスではキャンディーや ケーキにも使われた、レモンにも似た柑橘(かんきつ)系のさわやかな香りのフルーツだ。 しかし、日本でこのアールグレイを飲んでも、 どうしてもフルーツの香りとは程遠いイメージである。 何しろヨーロッパと日本では水質が違うため、同じ茶葉を使ってもこの香りは再現できない。 時には「線香の香り」だとも言われてしまう。 イメージが良く名前が知られているという事でファンもたくさんいるのだが・・・・。 6年前に英国を訪れた際、この「本場のアールグレイの香り」は確認しているが、 時間とともに香りの記憶はあいまいになってくる。 紅茶教室などで生徒に常に本当の香りを伝えたいのだ。 そうこうしているうちに電気ポットのお湯が沸き、お茶をいれた。その瞬間、 オレンジorレモン?それともグレープフルーツ? 私の記憶するすべての柑橘系のフルーツが頭に浮かんだ。 オレンジ系の甘い、そしてさわやかな香りが疲れていた私の体を包んでくれた。 その後は、これから始まる旅のことも考えずにミルクを加えたり 冷めた紅茶を飲んだりして朝方まで過ごした。 約200年前、グレイ伯爵が愛した「本場の香り」を再確認することができた 最高に幸せなエディンバラの夜、ミッドナイトティータイムだった。 |
|
Koki.Matsukawa |
〜エッセイの目次へ〜 |
---|
トップページへ |
---|